予防のススメ

健康や疾病予防に関する情報や、趣味の読書で得た知識などをまとめています。

怖い腰痛と怖くない腰痛がある?腰痛予防について!

 今回は腰痛予防について紹介しようと思います!

 

 

 一言で「腰痛」といっても、原因は様々です。

 そして、多くの人がこの腰痛に悩まされているのではないでしょうか。

 今回は少しでも多くの人が楽になれればと、情報提供させていただきます!

 

目次

 

腰痛について

 一般的に、腰痛というのは腰周囲の痛みを示す言葉であり、要因は様々なものがります。

 平成28年厚生労働省の業務上疾病発生状況等調査においては、腰痛は64%だったそうです。

 半分以上の人が仕事中に腰痛を発症しているんですね!

 

 そして、平成28年国民生活基礎調査の概況でも、自覚症状の状況において、男性で「腰痛」の有訴者率が最も多く、女性では「肩こり」に次いで「腰痛」が高いという報告があげられています。

 日本人の多くの人が腰痛に悩まされていることが、データとして出ています。

 さらに、先進国での腰痛の生涯有訴率は70%以上という報告もあります。

 

 これだけ医療が進歩しているのに、腰痛発症は減らず、絶えず悩み続ける生活が続いているのも不思議な感じですね。

 

 僕、実は中学生の頃に腰椎分離症になったのですが、その時のリハビリの先生に『「腰」は「にくへん」に「要」って書くでしょ?だからとっても大切な場所なんだよ』と教えていただきました。

 確かにその通りだよなと思います。

 腰が悪いと、足にしびれが来たり、力が入りりにくなったり、逆に体幹もしっかり機能しないために、ふらついてしまうこともあります。

 

怖い腰痛?怖くない腰痛?

 最初にも述べましたが、腰痛の原因は様々です。

 純粋に腰を使いすぎてしまっていたい場合も当然あります。

 しかし、気を付けなくてはいけない腰痛もあります。

 それが、特異的腰痛と呼ばれるものです。

 これには

  • 腫瘍
  • 内科的疾患(消化器系、泌尿器系、婦人科系、循環器系)
  • 骨折
  • 細菌感染
  • 椎間板ヘルニア
  • 脊柱管狭窄症

などがあります。

 これらは腰痛におけるレッドフラッグとされています。

 

 レッドフラッグとは

脊柱原性の疼痛が悪性の病変(癌・感染症・場鼻神経障害など)に由来している可能性があることを示す臨床所見または徴候

とされており、腰痛と診断される中に15%ほどはこのレッドフラッグがあると言われています。

 

 これらは「お家で様子見」なんてしていられません。

 すぐに医師の診断・治療が必要なものです。

 

 けど、「腰痛なのに内科的疾患にかかっているなんて思わないでしょうし、腰が痛いのに整形外科以外にかかるのはおかしいでしょう」と思いますよね。

 

 ここで、簡易的にレッドフラッグを見つける症状を紹介します。

  1. 明らかな外傷(転倒・転落など)後の痛みで、日常生活が実施しにくい
  2. 夜間など、安静にしていても楽な姿勢がない
  3. 強い痛みが下肢の膝下まで放散する
  4. 明らかな筋力低下の存在
  5. 会陰部周囲のしびれ、灼熱管、膀胱直腸障害

 これらの症状や最近起こった違和感などを先生に伝えると、細かい検査や他の診療科の医師に診てもらうなど、原因をしっかりと鑑別してもらえると思います。

 

 上記に挙げたのが「怖い腰痛」です。

 

 そして、怖くない腰痛というのが、特異的腰痛に対する「非特異的腰痛」です。

 

 これは、

画像などに異常が認められず、器質的な問題が無い腰痛

とされています。

 つまり、痛む原因がないのに腰が痛むという、とても迷惑な疾患です。

 

 この非特異的腰痛には、心理社会的因子が多く関与していることが明確にされてきているそうです。

 

痛みを知ろう

 国際疼痛学会によると

「痛み」は実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である

と定義されています。

 

 感覚的な痛みであっても、それを捉えているのは常に主観的な個々の心理的な状況を示すということです。

 

 ちょっと頭がこんがらがってきますね。

 こんなことはありませんか?

 けがをした直後に擦り傷とかを見るととても痛いけれど、遊んでいたり、趣味に夢中になっていると痛みを忘れてしまう。

 

 こういう、心の変化により痛みを感じる程度も変化するのです。

 

腰痛予防としてやること

 上記のように、特異的腰痛に対しては医師の診断や治療が必須です。

 なので、ここでは非特異的腰痛と診断された場合、あるいはレッドフラッグに該当していない場合の腰痛対策を紹介します。

 今回参考にした論文では

広義の腰痛予防とは腰の痛みを100%無くした状態を保持するのではなく、腰痛が存在しても仕事を休まず勤務でき、生活に困らないレベルに管理し、連続4日以上休むような腰痛にしない

 ことが、労働現場における腰痛予防であると書かれています。

 

 腰を構成する骨、靭帯、関節、筋肉のち、短時間で疲労しやすいのは筋肉です。

 これらのコンディションとメンテナンスが疲労性や姿勢性の腰痛予防に繋がります。

 

 現代の仕事はPCなどの普及により、座位作業や連続した同一姿勢での作業形態が大半を占めています。

 つまり、適度に身体を動かすことが少なく、筋力や筋量は低下しやすい環境となっています。

 連続した同一姿勢は、姿勢保持のために筋の血流が悪くなり、痛みを生じやすくなります。

 

 では、どうすればいいのでしょうか。

 対策として、1時間に1回程度(最低でも午前と午後1回ずつ)、ラジオ体操や軽いウォーミングアップ運動、ストレッチなどを実施することが望ましいとされています。

 

 他に、生活面での動作の注意も必要だと僕は思います。

 元々身体が柔らかかった僕は、床に落ちている物を拾う際、膝を曲げずに腰だけを曲げて拾っていました。(膝を曲げずとも余裕で両方の掌が床に付きます。なんなら、踵よりも後ろに手をもっていけます(笑))

 

 しかし、この姿勢は当然腰に負担がかかります。

 そのため、物を拾う時は膝を曲げて拾うなど、生活動作にも着目すると、腰にかかる負担を減らし、それにより痛みを減らすことも可能となるかもしれません。

 また、普段の姿勢から反り腰気味だと、立っているだけで腰に負担がかかることがあります。

 それにより、台所での料理が大変で休み休みやったり、椅子が必要だったりする人もいると思います。

 その場合、小さな足置きや踏み台に片脚を載せることで、反り腰が少し軽減し、腰への負担が減ることもあります。

 自分の注意だけで中々改善しない場合は、道具の使用などもおすすめです。

 

 普段の生活を見直してみると、もしかしたら改善すべき点がみつかり、改善することで痛みも減るかもしれません。

 ぜひ、参考にしてみてください!

 

参考文献

1)浅田忠成:腰痛予防に役立つ運動と知識.第30回日本保健福祉学会学術集会特集,2018,24(2):p29~33.