予防のススメ

健康や疾病予防に関する情報や、趣味の読書で得た知識などをまとめています。

自信をつけるなら自己効力感を高めよう!

 

 行動変容について色々まとめてきましたが、今回はその中に出てきた自己効力感について、まとめようと思います。

 タイトルにもあるように自信につながるものなので、自分に自信がない人はぜひ一読ください!

 

目次

 

自己効力感とは?

Banduraという人物がいます。

 Banduraは、人間の行動を決定する先行要因に

  • 結果予期:自分の行動がもたらす結果を予測する

  • 自己効力感:行動遂行に対する自分の能力を予測する

を挙げています。

 自己効力感とは、

ある行動を遂行することができる、と自分の可能性を認識していること

 とされています。

 自己効力感が強いほどその行動を遂行できる傾向にあると述べています。

 

関連概念

 実は自己効力感に近い考え方が存在します。

 勘違いしてはいけないと思いますので、ここでご紹介していきます。

自尊感情

 自尊感情は、自己の認識に関する概念を総称した自己概念の一つで、自分自身の価値と能力に対する感情あるいは評価であると言われています。

 こうみてみると、自己効力感と近いものがありますよね。

 では、自尊感情と自己効力感、どこが違いのでしょうか。

  • 自尊感情:自己を評価して生じる感情
  • 自己効力感:個人の能力の推測

とされています。

 自己効力感はあくまで推測であって、感情ではないとのことです。

 

ローカス・オブ・コントロール

 これは、

  • 内的ローカス・オブ・コントロール自分の行動や性格に原因があるという信念を示す
  • 外的ローカス・オブ・コントロール運や機会、運命、力のある他者など、自分ではコントロールできないものが原因であるという信念を示す

に分けられます。

 そのうち、内的のほうは、自己と結果の因果関係を述べています。

 自己効力感は、ある結果を招くような行動と自己の因果関係であります。

 

コンピテンス

 これは、

人と環境が効果的に刺激し合う能力 

 をいいます。

 流れを以下に述べていきます。

 環境に変化をもたらすことで、効力感が得られます。

 効力感を得ようと環境に働きかけます。

 そして、コンピテンスが獲得されるというものです。

 自己効力感との違いは、

  • コンピテンス:行動の結果
  • 自己効力感:行動の予測

となっています。

 

統制

困難でストレスのある状況の中で、自信や、コントロール感または支配感などが得られるような人間の反応

 をいいます。

 これも自己効力感と似ていますよね。

 統制を認識する統制感と、自己の能力を認識する自己効力感は、環境を変化させる自己の能力を評価する点で共通しているといわれています。

 では、どこが違うのでしょうか。

 統制の最初の文を見ましょう。

 統制は、「ストレスや困難な状況」が条件となっています。

 統制には、困難な状況を乗り越えようと対処した結果、コントロールや有能さが取り戻されることを期待し、行動の結果に注目しています。

 たしかに、困難なことを乗り越えたほうが達成感もありますよね。

 それに対し、自己効力感にはストレス等の規定はありません。

 

自己効力感の先行要件

 自己効力感には、認識に影響を与えるものが存在します。

 それは、

  1. 制御体験:思考プロセスが行動をコントロールすることで行動達成が導かれる
  2. 代理体験:他者の体験を見本にする
  3. 言語的説得:成功できると思わされる
  4. 生理的情動的状態:行動に伴う身体的な刺激や反応、感情、気分

 これらは「情報源」となります。

 思考がしっかりとしていれば、行動を起こすことは可能ですし、

 他者の体験を見本にすることは誰もが一度はやっているのではないでしょうか。

 自己啓発本を読んだり、先輩や友達に成功体験を聞いたりするのも、この代理体験に含まれます。

 友達に励ましてもらうことでも、自信はつきますよね。

 感情や気分が高まっていれば行動しやすいと思います。

 

 さらに、これらの情報源に加えて、次のような要因も挙げられています。

  1. 行動に対する意味付け・必要性
  2. 行動の方略
  3. 原因の帰属
  4. ソーシャルサポート
  5. 認知能力
  6. 健康状態

 上から順に報告されていることを述べていきます。

 何のために行うかという意味に価値を置いているほど自己効力感は高く、課題とされている行動をとる率が高かった。

 

 達成するための方略があげられ、ある課題を達成するための方略を知っていて、それを活用できることが自己効力感を高める要素である。

 

 子どもが自分の成功や失敗を自分の能力の結果と考えるほうが、努力の結果と考えるより、自己効力感は高く保たれる。

 

 活用できるソーシャルサポートを多く認識しているほど、自己効力感が高められる。

 

 自己効力感には、過去や未来という時間を自分と関係づけることや、自分自身を振り返る反省といった能力を必要としている。→7歳から12歳ごろに備わってくる。

 

 老人の場合、身体的な衰えが自己効力感を低下させる要因になるなど、健康状態の良し悪しが自己効力感に影響を及ぼしている。

 

自己効力感の結果

 自己効力感を得ることで、以下の4つが生じるとされています。

  1. 行動の達成
  2. 達成に向けた努力
  3. 似たような状況での行動達成
  4. 生理的・心理的反応の変化

 ある課題が与えられたとき、それに対する自己効力感が高いほど実際にその課題を達成する率が高くなります。

 

 自己効力感が高いほど、目標としている行動に挑戦しようと努力する傾向を示し、自己効力感が低いほどあまり努力しない傾向にある。

 

 成功体験を繰り返すことで、似たような状況でも行えるだろうという自己効力感に結び付き、状況が変化しても同じ行動を行えるようになる。

 

 自己効力感が高い場合に不安や恐れは弱く、自己効力感が低い場合には不安や恐怖が強く現れる傾向にあることや、自己効力感が高いほど、心理状態に伴う心拍数や血圧が安定することも報告されています。

 

 自己効力感が高まれば、なんでもうまくいきそうですね。

 では、どうすれば自己効力感は高まるのでしょうか。

 

自己効力感を上げるには

 Banduraは、強力な自己効力感を作り出す最も効果的な方法は、成功体験を通じたものである、と述べています。

 看護師の研究があるのですが、経験を重ねるごとに成功体験が多くなり看護実践能力も高められ、業務の遂行が容易になるとされています。

 また、自己効力感の強さには、忍耐強い努力によって障害に打ち勝つ体験が要求されるとも述べています。

 いくら成功体験をつんでも、ある程度ハードルは高くないと意味ないんですね。

 

 成功体験を積む、障害に打ち勝つ体験が必要なのはわかりましたね。

 では、どんなことをすればいいのでしょうか。

 簡単です。行動すればいいんです。

 例えば、自分がやってみようとは思っていても、なんとなくためらっていてやっていないことをやってみることも一つの手段です。

 また、職場で必要だと思ったことを上司に相談してみたり、実際に取り組んでみることも大事かなと思います。

 つまり、「行動」こそが、自己効力感を上げる一番の方法です。

 成功体験を聞くのは上でも書きましたが、あくまで自己効力感を上げるための「情報源」です。

 実際に自分で行わないと自己効力感は高まりません。

 よく、受験を控えている学生に卒業生が「大丈夫だよ、なんとかなるよ」って言っているのを聞いたことがありませんか?

 これってよく考えると、「合格」という目標を達成して、自己効力感が高まったから言えることなんじゃないかなと僕は思います。

 アウトプットの記事でも書きましたが、

  • インプットは「脳内世界」が変わること
  • アウトプットは「現実世界」が変わること

です。

 現実を変えるには、アウトプット、行動しかありません。

 行動することで、自己効力感が高まり、さらなる高みへと進むことができます。

 

 今回は自己効力感についてまとめました。

 まずはできそうなことからでいいので、行動していきましょう!

 

参考文献

1)江本リナ:自己効力感の概念分析.日本看護学会誌,2000,20(2):p39~45.

2)境俊子,冨樫千秋:中堅看護師の自己効力感に影響する要因.日本健康医学会雑誌,2017,26(2)p65~73.