感情のコントロール
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「我慢が大事なの。人の前では我慢して、我慢して、吐き出してしまえば楽になる。あとは捨てちゃえばいいの。みんなそうしてる。それが大人になることなのよ。」
人と接していると大なり小なり嫌なことがあり、それを堪えなければならない場面は少なくない。
そうして溜まった鬱憤は、誰かに話を聞いてもらったり、運動したり音楽を聴いてリセットさせたりする。
酷い場合はモノやヒトに手を挙げたりして、発散させることもある。
鬱憤を晴らす方法を知らず、我慢し続けてしまう人が、精神を病んでしまう。
辛いこと、苦しいことを内に堪えて我慢できる人は強いように見えるかもしれないが、むしろ弱みを「見せられない」弱さを持っている。
人体の物質的な排泄物(尿や便)はトイレで処理することができる。
しかし、嫉妬や憎悪、憤怒といった負のエネルギーに満ちた、精神的汚物を処理する道具・器具は現代社会にはない。
あるのは、気持ちを落ち着かせる方法だけだ。
しかし、本当に心の排泄物を処理できるものがあったらどうだろう?
堪えた怒りや嫉妬、憎悪を吐き出して、心の隅々までキレイさっぱり跡形もなくなくなったら、気持ち良いのだろうか?幸せに暮らせるのだろうか?楽しく過ごせるのだろうか?
「あったらいいな」と、思った矢先、「それでは何も変わらないのでは?」とも思った。
と言うのも、いかなる感情にも、そう感じた原因がある。
誰かの行いに対して腹が立ったり、誰かの存在に嫉妬したりなどなど、必ず思いを抱いた対象となる言動があるのだ。
原因がなくならない限り、それにより起こる負の感情が止まることはない。
原因がなくならないから、常に「辛い辛い」と吐き出し続ける毎日になってしまう。
一時的にクリアになっても、次回また同じことが起こると想像するだけで、心にモヤがかかってしまいそうではないか?
実際にそんな機械を作ることは難しいだろうし、しばらくは生まれないだろう。しかし、それでいいと僕は思っている。
いくら負の感情だとしても、それはその人の成長にとって少なからず必要なことなのだと思っている。
怒りや嫉妬にしても、何に対して抱いた感情なのか、なぜそう感じたのかを考える。
負の感情に囚われていては思考は単純化しミスを連発してしまう。
良い方向に進んでいたことも、もしかしたらマイナスに傾いてしまうかもしれない。
感情的にならないためにも、自分の感情が揺れ動いた時に敏感になることだ。
そして、平常心を保つことを心がけなければならない。
自分の心を正常に保つには、原因となった状況や心境を的確に把握する力が必要だ。
そうすることで、「あ、これで自分の感情は反応したんだ」と、納得し冷静を取り戻すことができるはずだ。
仮に、自分の彼女が知らない男と一緒に歩いていたとする。
それを見た男は「あれ?」と思うはずだ。
「あれは彼氏か?浮気してるのか?いつからだ?」と焦りと不安が募っていき、徐々に
「なんで知らない男と一緒にいるんだ」と嫉妬や怒りに変わっていくことだろう。
この場合、
男は彼女が知らない男と一緒に居たことに不信感を抱き、浮気された思い、怒りの感情が出てきた。
という、シチュエーションだ。
このシチュエーションの場合、「あれ?」の時点で気づければベストだが、男の存在を推測する時に様々な可能性を立てられれば良いと思う。
あれ? の時点で気持ちは揺らいでいる。なぜ揺らいでいるのか、そこにまず気づくことが大切なのだ。
それは「彼女が知らない男といる」という状況が原因だと分かると思う。
では、ここで冷静になるにはどうすれば良いだろう?
男と言っても可能性はいくらでもある。
・兄弟
・元から仲が良かった異性の友達
・職場や学生時代の先輩後輩
などだ。
一緒に居たとしても
・兄妹として買い物していた
・偶然遭遇した
など、状況も様々である。
一瞬の出来事だけで「浮気」と断定することはできない。
少し長くなってしまったが、何が言いたかったかというと
簡単に感情を吐き出したり処理すると自分の成長にも、人との深い繋がりも築けない
ということである。
感情は自分のものであり、それを汲み取って自分でどう対処するか考えることが、自分の成長に繋がるし、他者とも感情を共有することで円滑にコミュニケーションが進むと思う。
感情を簡単に処理できる掃除機やトイレのようなものが生まれてこないことを願う。
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松井玲奈さんの「カモフラージュ」にある「ジャム」を読んで感じたことを書いてみました。
ちなみに、冒頭の文章は本書に記載されています。
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