エビデンスの見方
今回もエビデンスについて紹介します。
臨床を行う中で、疑問に思うことはあると思います。
「この人はどうやって介入しよう?」、「なかなか良くならないな。原因はここではないのだろうか」、「違うアプローチがあるのだろうか?」などなど、考えることは多々あると思います。
そんなときに参考にするのが、教科書だったり論文です。教科書の場合は参考文献を集めて出版しています。作っている過程でデータが古くなっている可能性もあります。新しいデータや記録、エビデンスを参考にしたい場合はオンラインで論文を調べたほうが速いです。
そんな時にも注意事項があります。論文を用いて介入を決める場合などの注意事項を今回はまとめていきます!
目次
注意事項
まずはざっと注意事項を上げていこうと思います!
- その研究は、理学療法士が答えようとしている特定の臨床疑問を扱っているか
- その研究の対象は、理学療法士が臨床で関わる患者/利用者/被験者に類似しているか
- その研究は、査読を受けたうえで公表されたか
- その研究の背景と使用された技術は、現代医療に合致しているか
この4点に注意しましょう。
以下、一つずつセクションにまとめて簡単に紹介します。
その1
検査、診断、予後、介入、アウトカムに関する患者/利用者マネジメントの要素によって、エビデンスの展開と適用可能性のある焦点領域が決まります。自分が知りたい内容のエビデンスでないと当然意味がありません。当たり前のことですが(笑)
個々の患者に関連していると理学療法士が考えている検査、測定、分類方法、予後因子、治療技術、臨床予測ルールやアウトカムに絞ってエビデンスを扱うことが理想となります。
その2
望ましいエビデンスには、研究成果を個々の患者に適応する理学療法士の能力を向上させるための、担当している患者/利用者/被検者に類似した対象が含まれています。
注意してみる項目として
- 患者の診断名
- 病気の重症度
- 問題が生じている期間
- 機能の状態
- 障害の程度
- 年齢
- 性別
- 人種および患者/利用者マネジメントが行われている臨床場面
などがあります。
これらに限ったものではありませんが、実際の自分の患者/利用者と共通しているかどうか、チェックする必要はあります。病気の重症度が違うだけでも治療アプローチが異なる疾患もあるため、注意が必要です。
その3
査読とは、各分野のスペシャリストによって論文として掲載される利点のある内容かどうかが審査される過程のことをいいます。
審査基準として
- 研究デザインおよび実施が適切であるか
- 特定の分野または当該の学術誌が扱っている分野に研究結果が適合しているか
- そのトピックに関する知識の蓄積へ貢献しうるものか
- 記載方法は適切か
などが含まれます。
査読による精査は、質の低い研究を取り除くスクリーニングとしても機能します。チェックしておきましょう!
その4
研究そのものが終了してから論文として掲載されるまで、多くの場合は1年またはそれ以上の期間を要します。そのため、当時流行っていたアプローチ方法であったり疾患であっても時期が異なるためニーズに沿えなくなっている可能性も少なくありません。
しかし、近年行われているインターネット上への直接的な論文公開の多くは、間違いなくこの時間を解消しています。逆に、進みすぎた医療技術の進歩故に、比較的古い研究を現在の患者の治療に反映させにくいという問題を生じている可能性もあります。
この点に関して、技術に疑問がある際には、時期が古いというだけで過去の研究の価値を否定するべきではなく、評価された内容は研究された時期から変わらず存在していることも同時に理解しておく必要があります。いかに古いアプローチ方法でも変わらず行われてきた手法であれば、適応である可能性もあります。「古いから」という理由で切り捨てず、しっかりと判断する必要があります。
ここに挙げたものは「望ましい」ということを示すものであり、エビデンス検索時の「必須」ではないためそこも注意しましょう。
今回は短いですがこの辺で!
また随時更新していきます!