予防のススメ

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これでバッチリ!酸塩基平衡の見方!

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 今回は専門系の話題になります。

 僕は理学療法士になるために国家試験を受けました。

 ↑当たり前の話なのですが(笑)そこで一つ難題が...

 

 わりと苦手な人が多い項目があります。

 その一つがこの「酸塩基平衡」です。

 僕もこれを理解するのに時間がかかりました。

 授業中に至っては、「これ理解して意味あるの?」なんて思っていましたからね...

 

 現在、集中治療や呼吸・循環・外科領域ではこの部分の理解が必須となるのではないでしょうか。

 また、理学療法士だけでなく、医師はもちろん、看護師や臨床工学技士等の職種の方々も必要な知識なのではないでしょうか。

 

 今回はこの酸塩基平衡の見方についてまとめようと思います。

 

目次

 

そもそも酸塩基平衡って何なの?

 そもそもの話なのですが、ここが一番肝心ですよね。

 まず覚えていただきたい数値を表で置いておきますね。

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 今回は上位4つ、pH、PaO2、PaCO2、HCO3⁻を中心に説明していきます。

 まず、pHというのは「ピーエイチ」や「ペーハー」と読みます。

 僕は「ペーハー」と言っています。

 このpHは日本語で水素イオン指数と言い、水溶液がどのような性質を持つかを表しています。

 小中学生の頃に学校でリトマス試験紙を使用した実験を覚えているでしょうか?

 僕の年代はやったと思いますがそれより若い世代はどうなんでしょう?やってますよね?(笑)

 青色リトマス紙を赤く変えるものが酸性

 赤色リトマス氏を青く変えるのがアルカリ性(塩基性)でしたよね。

 その酸性か、アルカリ性かどうかをpHの数値を読むことで簡単にわかります。

 pHの基準値は表より7.35~7.45ですね。

となります。

 つまり、pHが7.35~7.45間が中性となります。

 

 血液はこのpHを7.35~7.45に保とうとする働きがあります。

 これが、酸塩基平衡です。

 詳しく書くと長くなりそうなので、酸塩基平衡の話は後日まとめようと思います。(本来順序が逆ですが...(笑))

 

アシドーシスとアルカローシス

 さて、この酸塩基平衡を勉強しているとこんな言葉を目にします。

  • アシドーシス
  • アルカローシス

 そして、この2つに似たこれらの言葉も目にします。

  • アシデミア
  • アルカレミア

 言葉の持つ意味が違うので違いをはっきりさせて進んでいきましょう!

 

 まず上記のアシドーシス・アルカローシスですが

  • アシドーシス:血液を酸性にするような病態
  • アルカローシス:血液をアルカリ性にするような病態

 です。

 それに対し、アシデミア・アルカレミアは

  • アシデミア:酸性に傾いている状態
  • アルカレミア:アルカリ性に傾いている状態

となります。

 状態か、病態かで違うので注意が必要です。

 

酸塩基平衡障害

 酸塩基平衡障害で目にするものとして、以下の4あります。

  • 呼吸性アシドーシス
  • 呼吸性アルカローシス
  • 代謝性アシドーシス
  • 代謝性アルカローシス

 これらはpH、PaCO2、HCO3⁻の値を見て鑑別します。

 それぞれどうなった場合がアシドーシスなのかアルカローシスなのかを表にまとめました。

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 表にしたうえで、文字にしてまとめます。

  • 呼吸性アシドーシス :pH7.35以下でPaCO2が上昇
  • 呼吸性アルカローシス:pH7.45以上でPaCO2が低下
  • 代謝性アシドーシス :pH7.35以下でHCO3⁻が低下
  • 代謝性アルカローシス:pH7.45以上でHCO3⁻が上昇

 PaCO2やHCO3⁻が上がってるか、下がっているかは一番最初の表の基準値から逸脱しているかどうかで判断します。

 

代償期

 上記の酸塩基平衡障害が起こった場合、人体ではpHを元の値に戻そうと代償作用が働きます。

  • 呼吸性の酸塩基平衡霜害が起こっていた場合は代謝性の代償
  • 代謝性の酸塩基平衡障害が起こっていた場合は呼吸性の代償

が起こります。

 上からそれぞれ

  • 代謝性代償
  • 呼吸性代償

といいます。

 この代償ですが、呼吸性は早期(数時間程度)で代償が働きますが、代謝性に関しては代償に1~2日かかります。

 そして、あまり目にしないと思いますが、血液ガスデータを見ることで代償期もわかるので紹介しようと思います。

 代償はこの3段階で分類されます。

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 僕が学生の頃勉強していた教科書には載っていなかったのですが知っていて損はないと思います。

 代償が働いているのか働き始めたのかも知ることができますからね!

 

読み解くためのステップ

 さて、酸塩基平衡障害を読み解くための基本項目を見てきました。

 が、「ここまでは知ってるよ」という方が多いのではないでしょうか。

 「基本的なことは知ってるけど、国試の問題とかで出てきたらわからない」、「実際に臨床でどうみていけばいいかわからない」という方がいるのではないでしょうか。(これ全て自分が思っていたことです...(笑)勉強したことを活かすことができない人なので...(-_-;))

 

 ここで鑑別しやすくするために見る順序をステップとして見ていこうと思います。

 順番としてはこのような感じです。

  1. pHから酸性かアルカリ性側かを見る(アシドーシス・アルカローシスの鑑別)
  2. pHとPaCO2、HCO3⁻との関係を見る(呼吸性・代謝性の鑑別)
  3. 代償作用の程度をバランスから判断(非代償性・部分代償性・代償性の鑑別)

 さらにここでワンポイント追加アドバイスするなら、ステップ2ではPaCO2から見ると決めておくとよいかと思います。

 わかりにくくなってしまう一つの要因として、PaCO2とHCO3⁻の両方を一気に見ようとしてしまう点にあるのではないかと思います。

 そのため、一つに絞ってみるということから始めることをオススメします。

 PaCO2が基準値から逸脱していれば呼吸性、逸脱していなければ代謝性と判断するきっかけになりますからね。

 

 

 いかがでしょうか。

 僕も学生の頃悩んだ酸塩基平衡ですが、少しでも理解する一助になれば幸いです。

 一般的な医学的知識だけでなく、自分の勉強のアウトプットとして、このような専門知識もまとめていこうかなと思います。

 

参考文献

理学療法NAVI この30題で呼吸理学療法に強くなる

item.rakuten.co.jp

 個人的に、呼吸理学療法を理解するうえではわかりやすくまとめられていると思うので楽天のリンクを貼っておきます!