予防のススメ

健康や疾病予防に関する情報や、趣味の読書で得た知識などをまとめています。

理学療法におけるバイアス

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 以前、バイアスについて少し紹介をしました↓

mt117.hatenablog.com

 

 今回は、理学療法におけるバイアスについて紹介します。

 

目次

 

臨床推論

 参考にしている本のバイアスの表に「臨床推論におけるアイアスおよび経験則的な失敗の例」と表題が書いてあります。

 今回もバイアスの内容と失敗例を紹介しますが、そもそも臨床推論とは?というところから、簡単に解説しようと思います。

 

 臨床推論は「クリニカルリーズニング」ともいわれます。

 リーズン(reason)には、

わけ、(背後の)理由、根拠、推理、分別、理屈などの意味 

 があります。

 リーズニング(reasoning)は、

根拠をもって理由づけること 

 という意味があります。

 

 そして、臨床推論の概念として

対象者の訴えや症状から病態を推測し、対象者に最も適した介入を決定していく一連の心理(認知)的過程 

  を指します。

 簡単に言うとトップダウン型のアプローチですね!

 

 学生が実習で行うのはボトムアップ型になります。

 これは、様々な評価を一通り実施して、そこから何が問題なのかを見つけるもの。

 それに対しトップダウン型は、対象者の訴えや病態から必要な評価項目を取捨選択してアプローチをするというものです。

 

 もちろん、評価してアプローチして、それでまだ不十分だったら再評価をしてアプローチを実施します。

 評価とアプローチを繰り返し実施していく形ですね!

 臨床で行われるのは主にこちらのトップダウン型でしょう。

 

 ざっくりとですが、これが臨床推論です。

 今回話したい内容はこれではないので、簡単に終わらせてしまいます。

 

バイアスの種類と内容

 ここからバイアスと失敗の例などを紹介していこうと思います。

 

確信バイアス

 以前のバイアスの記事にて自己確証バイアスを紹介しましtが、それと同じようなものです。

 以前に抱いた特定のアウトカムへの期待に基づいて臨床家が結論を導いているときに生じます。

 例えば、ある女性が以前から仕事の不満を訴えていたため、腰痛経験を大げさに考えていると、理学療法士が決めつけているといった感じですね。

 このような決めつけは日常でも行ってしまいがちですが、このように無意識に判断してしまうと、誤ったアプローチを行ってしまいがちです。

 

 このような場合の失敗例として、理g九療法士は女性の腰椎の関節制限を特定する臨床検査の手続きをしないという場合が考えられます。

 もちろん、腰痛がある場合はまずは局所の問題を把握すべきです。

 しかし、「以前から仕事の不満を訴えていた」という点に着目してしまい、精神的なものだろうと自分の中で判断してしまうこともあります。

 腰痛は肉体的な問題だけでなく、精神的な問題でも起こり得るものです。

 

 決めつけはしないよう、考えられる問題を考え、評価することが大事です。

 また、評価するうえでは問診も重要です。

 問診は一番初めに、多くの時間を取って行うべき評価です。

 問診によって

  • どのような生活をおくっているか
  • 発症時期
  • 疼痛の程度
  • 増悪時期はあったか
  • どのようなときに痛むか

など、様々な情報を得ることができます。

 ここでしっかり患者の背景を知ることが肝心です。

 臨床でもしっかりと意識して行いましょう。

 

※日常でも友人や家族などとしっかりとコミュニケーションをとりましょう。

 決めつけで話すことはやめましょうね。

 

検証バイアス

 これは、臨床家が仮説を検証する情報に対して選択的に焦点を当てるときに生じます。

 例えば、超音波療法で改善した肩に癒着性関節包炎のある患者だけ覚えていて、それと同じ手法で改善しなかった同疾患の患者を忘れているという場合です。

 以前のバイアスの記事でいうところの、正常性バイアスですね!

 自分にとって都合の悪い情報をスルーしている状態。これもよくないです。

 患者一人一人によって症状は異なります。一人良くなったアプローチがあったから同じアプローチも適応するとは限りません。

 この場合に起こる失敗として、物理療法に対する患者の反応に関係なく、すべての肩の癒着性関節包炎の患者へ超音波療法を適応することになってしまいます。

 アプローチをしたら評価が大事です。

 アプローチ前後で評価をし、良くなっているのであれば続けるべきですが、あまり変化が見られない場合は他のアプローチを検討しましょう!

 評価、しっかりやりましょう!

 

親近性効果

 これは特徴的な患者の症状や反応は覚えやすいので、それらが一般的な現象であると臨床家が思い込むときに生じるバイアスです。

 例えば、線維性筋痛症の診断を受けた、最後に担当した2人の患者が男性だったため、線維筋痛症は女性よりも男性のほうが一般的だと理学療法士が思い込むようなことです。

 ちょっと例えが酷いですよね(笑)

 ちなみに日本での線維性筋痛症の男女比は 1:1.3 となっており、女性が多いです。

 しかし、欧米での男女は 1:8~9 とかなり女性に多い傾向となっておりますが、日本と欧米で差が生じている理由は不明らしいです。

 

 余談が入ってしまいましたね。

 これも失敗例が酷いのですが、上背部に全体的な痛みをもつすべての男性を線維筋痛症患者に分類すると書かれています。

 さすがにそんなことはないと思いますがね(笑)

 けど、似たようなことは僕も経験があります。

 こういう疾患てこんな人が多いよな~って思うことありませんか?

 実際に疾患や病態でこういうアプローチが効いていると感じたら、実際に評価してみたり、患者さんに聞いて主観的な効果はどうなのか見てみるのはいいのかもしれません。

 判断したら判断しっぱなしで個人的解釈で終わらせないようにしましょう!

 

 他の場合として、特徴的な患者の症状や反応は覚えにくいので、それらは一般的な症状でないと臨床家が思い込む場合です。

 例として、新卒の理学療法士は、皮節性パターンに現れる痛みの様々な原因をどのように区別すべきか覚えていない場合です。

 僕もまだ臨床でわからないことは多く経験しています。なんでここが痛いんだろう、なんでこの動きが出せないんだなどなど、悩むことがたくさんあります。

 そこで様々な原因を考えて評価したり、調べてみることがとても重要です。

 

 この場合の失敗例として、特発性急性症状を持つ人において帯状疱疹による神経根痛が原因の痛みを、椎体関節の制限が原因の痛みであると理学療法士が誤解する場合です。

 この例を用いて話を進めると、痛みにも様々な種類があります。

 筋が痛いのか、皮膚が痛いのか。はたまた筋性ではなく神経系の影響なのか。

 痛みだけでも様々な原因があります。

 最初の方にも述べましたが、どこが原因なのか問診して確認していくことがとても重要です。

 僕らが優先ではなく、患者さん優先です。

 しっかりと患者さんの声を聴きましょう!

 

代表的排他性

 これは予定した治療セッションで回復した患者だけに基づき、症状や反応について臨床家が結論を導くときに生じるバイアスです。

 例えば、一連の治療を終えていないパーキンソン病患者と比べた、治療を終えた患者の経験から、ある特定のバランスプログラムがすべてのパーキンソン病患者のためになると理学療法士が思い込むことが挙げられます。

 パーキンソン病は病期によってアプローチが変わります。なので全てのパーキンソン病患者に有効なバランスプログラムはありません。

 結果的に起こる失敗例として、バランス管理のために紹介されたすべてのパーキンソン病患者に対して、まったく同じ方法でバランスプログラムを適用するということになりかねません。

 しっかりと病態を把握することも、プログラムを考える上では重要です。

 同じことを言うようですが、疾患ではなく、しっかりと患者さんを見ましょう!

 

価値バイアス

 臨床家の目からみたアウトカムの重要性がアウトカム発生の可能性をゆがめるときに生じるのがこのバイアスです。

 ちょっとよくわかりませんね(僕だけでしょうか?(-_-;))

 例として、急性期の有痛性状態における診断未確定の骨折についての理学療法の関心は、特定の状況下における骨折の罹患率に関するデータよりさらに強くなるというものです。

 失敗例としては、検証された臨床的予測ルールを使わず、急性の有痛性状態にある全ての人に対してX線検査を紹介するというものです。

 これ、アメリカの本なのでX線検査を紹介とあるのでしょうかね。

 日本では行いませんしね。僕は聞いたことないです。

 

 今回は臨床推論におけるバイアスを紹介しました。

 価値バイアスについては自分の理解が不十分なので分かり次第もっとわかりやすく例を挙げて書ければと思っております。

 今回はこの辺で!

 ではでは✋

 

参考文献

ダイアン・V・ジュエル:理学療法エビデンス大事典

エビデンスってなんですの?

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 理学療法のみならず、医療に携わる人は「エビデンスが大事だ」とよく言われますよね。

 僕が主に関わる理学療法の世界でも

「その介入方法はエビデンスあるの?」

エビデンスのある介入をしないとだめだよ」などと言われることがよくあります。

 あれ、ありますよね?(笑)

 

 もちろん、むやみやたらなアプローチや効果が得られていない介入をするとただ時間が過ぎていくだけになり、在院日数が延びてしまうということもあるため、エビデンスに基づいた介入を行うことは当然必要となります。

 

 しかし、エビデンスをしっかりと理解しているのかどうか、僕個人としては曖昧でした。

 そこで私、こちらの本を買いました↓

item.rakuten.co.jp

 

 アメリカではスタンダードテキストになっているらしいですよ!(帯から拝借しました)

 

 今回は自己研鑽も踏まえ、この中の内容を少し紹介していこうと思います!

 

目次

 

エビデンスって?

 そもそもエビエンスとはどういう意味なのかを簡単に紹介します。

 知ってますよそれくらいという声がタイピングしながら聞こえてきています(笑)

 エビデンスとは、

潜在的エビデンスを構成する出来事間の明白な関係に関する経験的観察の結果 

  と本書では書かれています。

 まさかエビデンスの説明にエビデンスが含まれるとは思いませんでした(笑)

 

 まあ、簡単に言うと「証拠」ですよね!訳したまんまですが(笑)

 

 エビデンス、つまり証拠がないのにこの介入をしようっていうのは、テキトーな介入をしていると思われてしまっても無理はないですよね。

 理学療法に限らず、例えば警察の世界でも

警「犯人はあなただ!」

犯「私はやってない!証拠はあるのか!」

警「証拠はないがたぶんやっているだろ!」

 なんて展開はありえないですよね(笑)

 

 患者さんにとって利益になるためにはエビデンスに基づいた介入が必要となってくるのがわかると思います。

 

エビデンスが必要とされた背景

 しかし、元からエビデンスが必要とされていたかというとそういうわけでもありません。

 ヘルスケアにエビデンスを使うことへの興味の拡大は、複数の問題が収束した結果であると言われています。

 それには幾つかあります。

  1. さまざまな状況の管理における、明らかに説明不可能な臨床内容のばらつきに関する幅広い記述
  2. インフレに対して不釣り合いなヘルスケアの持続的な増加
  3. 医療過誤を取り巻く報道
  4. 以前は認められていた薬物治療の潜在的あるいは実質的な害の特定
  5. 科学技術評価やアウトカム研究の流れ
  6. インターネット技術の急速な発展

 これらのことが重なった結果、エビデンスの必要性が増していった、ヘルスケア研究が普及していくこととなりました。

 

何が根拠に基づくのか?

 またしてもそもそも論なのですが、何が根拠となっているのでしょう?

 根拠に基づく医療という言葉も出ているくらいですからね。

 ↑聞いたことありますか?

 これは医師に関連した用語であり、

個々の患者のケアに関する意思決定において良心的で、明確で、賢明な、現時点で最良のエビデンスを用いること

 と言われています。

 根拠に基づく医療の実践は、「個々の臨床的な専門性と系統的な研究による最も利用可能な臨床エビデンスの統合」を意味するとされています。

 臨床的な専門性というのは、

臨床技能や能力の熟達であり、知識の持続的な拡大によって伝えられ、個々の臨床家が経験、学習、および内容を通じて発展させるもの

  とされています。

 つまり、専門性が高くないと根拠に基づく医療を行えないということになりますね。

 また、重要なのは机上で得た知識の活用だけでなく、経験も重要だという点です。

 実際に机上でいくら計画を練っても臨床では様々なことが起こり、予測不能な場面に遭遇することもあります。そうした場合の対処なども経験として蓄積され、それが何かしらの形で生かされていくのかなと思います。

 最後濁してしまってすいませんorz 語彙力が...

 

「根拠に基づく実践」と「根拠に基づくヘルスケア」

 上記2つの言葉は根拠に基づく医療によって記述されている行動と、他のヘルスケアの専門職を結びつけるために作成されている用語です。

 また、次のような拡大定義を提示しています。

患者ケアに影響を及ぼす決定をする際に実施されるケアは、妥当で重要なすべての情報に従った重みづけによってなされる 

 

 エビデンスは臨床的な専門性に置換されません。

 エビデンスと専門性は異なるのです。

  • 専門性:臨床的な問題に対して1つの視点を提示
  • エビデンス:より十分な意思決定のプロセスを伝える

 このような違いがあります。

 よくわかりませんよね。

 ここを十分に理解するために少々長くなりますが本書に書かれている内容を踏まえて説明していきます。

 

 用語にかかわらず、すべてのケースにおける暗黙のメッセージは、

 臨床的な意思決定にエビデンスを用いることは、権威者や伝統から得られた知識になんら疑問をもたず信頼してしまっていることからの脱却である。

 ここでいう権威者というのは大学などの教員やその領域のスペシャリストなどのことです。

 

 伝統というのは、「このような患者に対していつも行っていること」、いわゆる習慣のようなものですね。

 「膝OAの患者さんにはパテラセッティングをしよう」というようなものですね!

 

 自分の中でのありきたりな方法が専門性、そこから幅広い視点からアプローチをするためにエビデンスを用いるというのが、上記にある専門性・エビデンスの違いですね!

(ちゃんと説明できているか不安...)

 

生物学的妥当性

 権威者や伝統が示す知識は、生物学的妥当性や逸話に富んだ経験に基づいて展開された診断的および治療アプローチに由来すると言われています。

 生物学的妥当性というのは

 予測される様式で人の身体に作用するかもしれない合理的な期待

  を意味します。

 

 これは、臨床現象の初期の理解をしばしば反映しています。

 新しい解決方法を必要とする新しい臨床問題と対峙するには、この知識形態はそれなりに役割を持ち続けます。

 しかし、これだけでは不十分なのです。

 この形態の知識に依存してしまうことの弱点は

「真の」効果への探求を書く結果、無効か、あるいは害すらある検査、測定、介入を選択してしまっている可能性があるのです!

 つまり、意味のない介入、むしろ逆効果な介入をしてしまっている可能性があるということです。

 

 このような人脾摘および経験則的な失敗は、個々の患者に関して何が間違いで、問題を扱うために何が最も効果的な手段か、ということに関する不完全で誤った結論を導く可能性があるのです。

 

 そのため、ヘルスケア提供者は、限られたエビ炎スによって支持されている権威的、および伝統的な実践の根底にある事実について、意図的に再評価することが重要となります。

 

 

 いかがでしょうか。

 経験則だけでなくエビデンスのある介入をしっかり行う必要性が十分にわかっていただけたかと思います。

 いろんな記事を並行して書いておりますが、エビデンスに関しても随時更新していこうと思います。

 今回はこの辺で!ではでは✋

 

考えて感じ取れ!リハビリ職の職場の選び方!!

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 どうも、いろんな記事を書く書く言っておきながら、多くの記事を書き溜め中々更新が続いていない者です(-_-;)

 バランス関連だったり動機づけ面接法などなど、色々と滞っておりますが、そんな中全く別のお話をここで切り出していきます。溜めてしまっている記事も早く書き終えなければいけないのですが...

 

 

 先日、母校の就職説明会に上司と参加してまいりました。

 母校は4年制大学で説明会もメインは4年生なのですが、3年生も参加できる形をとっています。4年生は現段階での職場の候補を探したり、気になっているところを見てみたりなど、積極性が見られますが3年生だと実習もまだ行っておらず実習前のOSCEがあったりとまだ就職どころじゃなかったり、実感が無かったりとぽかんとしている人が多かった印象でした。

 ぽかんとしているのも、3年生だけでなく4年生でもそういう人はいました。

 しかし、それは決して悪いことではないと僕の中では思っています。

実際、僕も学生のこの頃は決められておらず、決めて積極的に行動に移している人を見て焦りを感じていました。

 ここで焦ってどこでもいいやと考えずに職場を選んで後悔するパターンも少なくありません。

 また、自分の中ではここが良いと思っていざ入ってみたら思っていたのと違って大変だといったパターンも少なからず耳にしています。

 

 そこで、僕これから職場を探すリハビリ職の学生たちにしっかりやってもらいたい職場の選び方をご紹介しようと思います。

 

目次

 

 知っておくべきこと

 先に注意すべき最も重要なことを伝えます。

 これが抜けていると仕事を始めてからかなり後悔することになります。

 「自分にとって何が優先なのか」 ここをしっかりと自分の中で決めておくことが大切です。

 本当にこれは大事です。これが決まっていない学生が就職説明会の時も多かったです。僕が学生の頃でも周りに多くいた記憶があります。

 

 リハビリ職の人は、どうしても患者さん中心の生活であり、

 「患者さんが良くならないと意味がない」、「患者さんが良くなってこその仕事」という風潮があるからか、プライベートも勉強会に行ったり仕事をこなしてしまったりと、プライベートを犠牲にしてしまうことがよくありがちです。

 最近その風潮は減ってきたような気もしますが、もしあなたが仕事はもちろん大切だけど、プライベートはプライベートとして楽しみたい場合は、そのような風潮の強い職場を選んでしまったら、とてもつらいと思います。

 

 上記では、仕事とプライベートのどちらを優先するかという話をしましたが、他にもパターンがあります。

 例えば、昔からスポーツに興味があったのに

 「選んだ職場が高齢者の多い病院だった」

 「スポーツ疾患を見れると聞いていたが実際入ってみたらそんなに患者数は多くなかった」

 という場合もあるのではないかと思います。

 もし、本気でスポーツ傷害を見たいのであればそこに強い病院やクリニックを選ぶべきです。

 

 しかし、時々こういう声を聴きます。

 「スポーツは難しいから大変だよ?」

 

 僕も学生の頃、学校の先生や実習先の先生からも聞いたことがあります。

 中学生の頃に怪我をしてリハビリを受けた経験があったので理学療法士を志したのでスポーツにも最初は興味があったのですが、これを聞くことも多く、他の疾患に興味を持ち始めたので今では気にしていません。

 

 しかし、もし興味がある分野があるのであれば、その領域に踏み込んでいいと思います。

 これはスポーツに限らず、他の分野でも同じです。

 「はじめは無難に回復期から...」なんていうことも僕の周りでは言われていました。

 「いきなり急性期や老健、訪問は難しいよ、大変だよ」ということも言われていましたね。

 

 「新人だから...」、「勉強が全然できないから...」、「難しそうだから...」

 そんなことは関係ありません。

 やりたいことをやらないことのほうが後悔は大きいです。

 20数年生きてきて、そのような後悔は一度はあるのではないでしょうか?

 

忘れられがちな優先項目

 よく職場選びで挙げられる項目として

  • 規模が大きい
  • 教育体制がしっかりしている
  • 急性期・回復期・維持期とあり、自分の好みの領域がある
  • 自分が見たい疾患が見れる
  • 給料が良い
  • 家から近い
  • 福利厚生がいい

などがあると思います。

 もちろん、これらも非常に大切です。

 

 ですが、他にも忘れられがちな重要な項目があると思います。

 個人的な解釈になりますが

  この2つはかなり重要項目でありながら、就職活動時は軽視されやすい傾向にあると僕は考えています。

 

 人間関係に関しては職場を辞める理由やトラブルの原因の上位になっております。

 一緒に働くスタッフに対して嫌な気持ちを持ったまま働き続けるのはかなり苦痛ですよね。

 

 また、ワークライフバランスも重要です。

 設備や体制など環境が整っているところで働きたいと思う学生は多いと思います。

 もちろん、そういった場所で働けば自分の実力がつきやすいというメリットもあります。そのような場では業務後の勉強会なども積極的に行われていると思います。

 しかし、もしあなたが

「業務後は自分の勉強をしたい」、「仕事以外の時間も大切にして遊ぶ時間も欲しい」と考えていた場合、そのような環境の職場に勤めると苦労することになるかもしれません。

 院内や施設で行われる勉強会などはそこで働くスタッフにとって必要不可欠な内容になっていることももちろんあると思います。なので参加すべきものなのかもしれません。

 しかし、働き方改革が叫ばれている中、ガツガツ勉強会に参加したいと考えない人も増えているような印象もあります。

 僕としては、勉強するしないは個人の自由だと思っています。それで苦労するのは自分自身なので。他のスタッフに迷惑をかけてしまう可能性など他のデメリットはあるかもしれませんが、あくまで僕個人の意見としてとらえていただければと...(腰が低い笑)

 

 なので、勉強会が多くて自分の好きなことができないなんてなりたくないという人は、そういった点もしっかり調べたほうがよいでしょう!

 

職場の調べ方

 では、どのようにして就職先を探せばよいのでしょうか。

 まず思いつくものとして、

  • 病院のホームページ
  • 求人票
  • 実習先

などがあると思います。

 特に実習先などは実際に目で見て感じているものがあるので、得られるものも多いと思います。

 人間関係や院内の環境もよく知れると思います。

 また、理学療法学科に関しては大きい実習が3回あるので、その中で病院や施設ごとにどのような違いがあるのか、自分はどういうところが良かったのかを比較すると、最初に述べた自分の優先順位が見えてくるかもしれません。

 

 上記2つのホームページや求人票は、実習で行かなかったところでも候補となる病院・施設がある場合に見ることがあると思います。

 しかし、注意してほしい点があります!

 ホームページや求人票では人間関係やワークライフバランスを知ることはほぼほぼ不可能だと僕は思っています。

 ホームページに情報を盛りだくさんにしている場所は最近増えてきた印象にあります。

 その中で一日の業務の流れや勉強会について書かれているものも少なくありません。

 しかし、

  • 勉強会自体にどれくらい時間がかかるのか
  • 勉強会の頻度はどれくらいなのか
  • 勉強会の資料作りや発表準備などはどれくらいかけているのか

など、詳細な点を見ていくときりがありません。

 多く勉強会を行っている場所ほど、発表する機会も多くなり、それだけ仕事に時間を取られてしまうことになるのです。

 

 では、どうやって職場の雰囲気を知ればよいのでしょうか?

 

1. 病院見学に行く

 まず、行って感じてみることも一つの手ですね。

 病院・施設側としても、見学してくれた学生は意欲があると思ってくれますし、印象としてはよいと思います。

 また、リハビリの雰囲気も見れますし、どんな人がいるのかも簡単に見ることができます。

 

 「簡単に」に色をつけたのには理由があります。

 病院見学の場合、居ても数時間しかいないため、職場の人全員を見れていない場合やどんな人なのかをしっかりと把握することはできません。

 もし怖い人がいたとしてもその人が休みでいなかったり、本性をあらわにしていないだけかもしれません(笑)

 

 また、勉強会の有無に関しても、そこまで見学させてくれる施設はそうそうないでしょう。

 なので、病院見学は入職意欲があること、どんな人がいるのかを簡単に把握するためのものだと思っていただければいいのかなと思います。

 

※病院見学に行ったらお礼状を書きましょう。

 スタッフの方々は仕事を調整して相手をしてくれています。見学時の態度はもちろん、粗相のないよう注意してください。

 

2. 実習地として行った友達に聞く

 これがわりと有力です。

 自分が行きたいと思っている病院や施設に、実習地として行った友達にどんな雰囲気だったかを聞けば、実際に見た感想を聞くことができます。

 しかし、ここでも少し注意が必要です。

 

 それは、その人のバイアスがかかっている可能性があることです。

 

 例えば、あなたは定時に帰って仕事とプライベートは分けたい人としましょう。そして実習地に行った人は仕事に積極的に取り組みたい人としましょう。

 そんな中、「あそこはどうだった?」という質問をし「すごくよかったよ」という回答をされてそれを鵜呑みにすると、想像と違う結果になってしまうのはわかりますよね。

 

そのため、

  • どんな人がいるのか
  • どれくらいの患者数を見ているのか
  • 勉強会の頻度はどれくらいなのか
  • みんな忙しそうか

などなど、色々聞いてみましょう。

 細かく、自分の優先順位に近い内容を質問すると相手も答えやすいです。

 

3. 就職している先輩に聞く

 それから、既に自分が行きたいと思っている施設に知っている先輩が働いている場合は、その人から聞いてみるのもいいのかもしれません。

 実際に働いてみてわかったのですが、学生からの視点と、働き始めてからの視点では色々と見えてくるものが異なります。

 その中で、働いていてどうなのか、生の声を聴くことができるのは今後働き始めた時を考えるととても有力だと思います。

 もし知っている先輩がいなければ、友人経由でどんなところか紹介してもらうのも一つの方法ですね!

 

 ネットでなんでも解決しようとするのではなく、実際に人と接してみることも大切です!

 なんせ、対人の職種なのですから!

 

 ちなみにですが、僕はこれを全て実施して今の職場を選びました!

 全く後悔していないというわけではありませんが、苦労なく生活を送れています。

 

 新社会人にとって一番最初の職場はとても大事なものだと思っています。嫌な思いをせずにステップアップを重ね、自己研鑽し続けられるかは、最初が肝心です!

 ぜひ今回紹介した内容を参考にしていただければと思います。

 

 ではでは✋