紙巻きタバコと加熱式タバコの違い
さて、またタバコの話に戻ります。
これまで、主に紙巻きタバコによる害を紹介してきました。
しかし、最近、紙巻きタバコ以外にも電子タバコや加熱式タバコが出てきましたよね。
技術の進歩ってやつですね!
しかし、害はないのでしょうか。
疑問ですよね。
そこで、今回は紙巻きタバコと加熱式タバコを比較した研究があったので、それを紹介しようと思います!
参考文献
川村晃右,山田和子,他:紙巻きタバコから加熱式タバコへの移行に伴う健康影響:ニコチン依存、ニコチン禁断症状と喫煙行動の変化について.日本衛生学会,2018,73:p379~387.
目次
緒言
事の発端は2004年、中国でニコチンを含む電子タバコが紙巻きタバコの代用として販売されました。
電子タバコの特徴として
- 紙巻きタバコに比べ有害物質が約100分の1
- 紙巻きタバコから替えても体内のコチニン濃度が維持される
- 米国にて2011年から2015年で900%の増加率
- 日本では、ニコチンを含まないとする電子タバコが流通
があります。
一方、タバコ葉を使用し、ニコチンを含有する加熱式タバコが販売されました。
2013年にPloom、2014年にiQOSが販売されました。
2015年のデータによると
- 15~69歳の48.0%が電子・加熱式タバコを認知
- 6.6%はいずれかの使用経験があった
- 約7割の者が自身への害が少なく、周囲への害がない安全な製品と認識
- 約4割の者が禁煙に役立つと認識
とのことでした。
そのため、今後紙巻きタバコから加熱式タバコ等へ移行する者が増加することが予測できますね。
電子タバコについて
調査によると、ニコチンを含有しないとするものでも、
という報告があります。
これは怖いですね。
ないと思っていたのに、実はあったなんて...
加熱式タバコについて
Ploomは、最大で75℃の温度を示す部分があり、水蒸気中にアルデヒド類が検出された報告があります。
また、iQOSは多環芳香族炭化水素類などを含有し、紙巻きタバコと同等量のニコチンやタールが発散されていることが報告されています。
しかし、発散されていても、まだ有害性に関する調査は少なく、紙巻きタバコから加熱式タバコへの移行に伴う健康への影響について明らかにした報告はないそうです。
目的
そこでこの研究では
- 加熱式タバコの有害物質の発散状況の確認
- 紙巻き→加熱式タバコへの移行に伴う健康影響について検討
そして、今後の喫煙対策に向けることが目的となっています。
方法
上記にあるように、目的が2つあるため、研究方法も2つあります。
研究1:加熱式タバコの有害物の発散状況
使用率の多かった
iQOS2.4(Philip Morris International)
Marlboroヒートスティックレギュラー(Philip Morris International)を使用
どちらも主流煙、副流煙を捕集
喫煙時に発散される一酸化炭素、アンモニア、粉じん、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを測定
研究2:紙巻きタバコから加熱式タバコへの移行に伴う健康影響
参加条件として
- 20歳以上の男性
- 紙巻きタバコの喫煙習慣がある
- 加熱式タバコを使用していない者
に自主的な参加を呼び掛けた
除外項目として
- 心疾患や呼吸器疾患の既往がある者
- アレルギー体質や慢性皮膚炎を有する者
- 60歳以上の者
結果、対象者は29名
調査項目
- 呼気・呼出煙中の有害物の調査(11人)
- 呼気一酸化炭素濃度と唾液中コチニン濃度の調査(11人)
- ニコチン依存、ニコチン禁断症状、健康影響に関する質問紙調査(25人)
結果と考察
簡単に結果をまとめて、考察も一緒に紹介しようと思います。
文字数的にも、結果の数値が僕自身理解できないのも含めてご了承くださいorz
加熱式タバコの有害性
研究1の結果を大雑把にまとめると
でした。
主流煙と副流煙の有害物の濃度を許容濃度と比較
主流煙(吸引回数/許容濃度を越えた回数)
- 一酸化炭素(42/42)
- 粉じん(42/29)
- ホルムアルデヒド(3/2)
この結果から、有害物質が少ないといわれる加熱式タバコでも、有害物を発散していることがわかりました。
研究2より、加熱式タバコ喫煙時の呼出煙の有害物の状況
そのため、吸引または経口から体内に取り込まれていることが考えられます。
また、唾液中コチニン濃度は、すべて喫煙者に相当する濃度だった。
これは、加熱式タバコのニコチン含有量は紙巻きタバコと同様であったとする報告と符合しています。
加熱式タバコによるニコチン依存、ニコチン禁断症状への影響
TDSやFTND、MNWSといった用語が出てきたのですが、把握しきれていないので、簡単にまとめます。すいませんorz
電子タバコへの移行により、タバコへの渇望が低下しました。
しかし、加熱式タバコに替えても生理的依存、ニコチン禁断症状が変わらないことが推察されました。
また、加熱式タバコに移行すると、使用本数に応じてニコチン依存に加え、ニコチン禁断症状が出現する可能性が高いことが示唆されました。
禁煙補助の可能性と使用本数増加の危険性
ニコチン禁断症状を軽減し、ニコチン依存を減らしていくことは、禁煙に向けて大切な要素です。
加熱式タバコは、禁煙本数が多く、ニコチン禁断症状が低いものには、ニコチンパッチと同様に筋江補助としての活用できる可能性が示唆されました。
しかし、本研究では、使用本数が増加したものが10名いました。
これはニコチン禁断症状のため、加熱式タバコ等に移行しても「1回の喫煙では満足できない
という印象につながる恐れがあります。
さらに、本研究では、副流煙からアンモニアは検出されなかった、電子タバコによる受動喫煙はないという認識を持つものが多いことが合わさり、周囲の人々への配慮が低下することが使用本数の増加につながる可能性が考えられます。
まとめると、
- 加熱式タバコに移行することで禁煙につながる可能性
- ニコチン禁断症状が強いもの、臭気などの理由で喫煙していなかった場所での使用が習慣化した者は、禁煙機会を逃す恐れがある
まとめ
長くなってしまい、すいません。
ここで全体のまとめを載せます。
紙巻きタバコから加熱式タバコに移行しても、主流煙には有害物が含有されており、ニコチン依存やニコチン禁断症状の出現、使用本数が増加する可能性が示唆されました。
論文自体、内容が多く、専門用語も多いため一般向けにまとめるのは難しいなと思いました。
自分も専門外なので難しかったです...
こういう論文は j stage というサイトでみることができるので、ぜひ見てみてください。
いろんな研究があるので、オモシロイ発見があるかもしれませんよ!