予防のススメ

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タバコと子どもとの関係性③

 

  引き続き、タバコと子どもとの関係性について紹介します。

 今回は、思春期からです!

 

目次

 

思春期

 少年から大人に変わる期間ですね...

 ...スルーしましょう...

 ここでは中学から20歳未満の間に起こりうるリスクをまとめていきます。

 

喫煙の世代間連鎖

 世代間連鎖というのは、親がタバコを吸うと子どももタバコを吸うようになるというものです。

 親から子へ伝播するってことですね!

 モントリオールの小学生に最初の調査を行い、9年後に2回目の調査を行ったところ、唾液中のコチニン濃度が高いほど将来喫煙者になる確率が高いという結果がでました。

 コチニン?ニコチンじゃないの?って思いますよね(笑)

 

 コチニンというのは、ニコチンが体内で代謝されたものです。

 

 このコチニン濃度が高くなる要因として、受動喫煙を高度に受けていることが考えられます。

 受動喫煙により、低ドーパミン血症を引き起こし、成人喫煙者にみられるドーパミンD1レセプターの減少が起こり、ニコチンをドーパミン代わりに求める現象が起こるのではないか、といわれています。

 また、両親のうち喫煙者が母親であったほうが、子どもが将来喫煙者になりやすいそうです。

 これも上記にある受動喫煙が大きいのではないかと考えられいます。

 最近、両親ともに働いている家庭が多いですが、主婦として生活されている方もいらっしゃいます。

 そういう方の主な喫煙場所は家庭です。

 父親は主に職場で吸うことの方が生活環境からして多いのではないでしょうか。

 そう考えると、母親が吸っていたほうが、子どもにとって受動喫煙が増え、コチニン濃度が高くなりやすいと思われます。

 

 特に未成年はニコチン依存になりやすいため、喫煙者を増やし、次世代へタバコの害を広める喫煙の世代間連鎖は重大だと思います。

 むしろ、親は子どもへタバコの害を伝えるべきだと思います。

 
未成年喫煙禁止法に対する誤解

 未成年喫煙禁止法は、根本正という政治家が作り、1900年(明治33年)4月1日から施行された古い法律です。

 もう100年以上も昔のことなんですね!

 ちょっとびっくりしました。

 しかし、100年も経っているのに未成年の喫煙が未だに起こっているのもなんか不思議な話ですね。

 ここで、内容を紹介します。

 

 第1条:満20歳未満の者の喫煙を禁止している。

 第2条:満20歳未満の者が喫煙のために所持する煙草およびその器具について、行政処分としての没収のみが行われる。

 第3条:未成年者の喫煙を知りつつも制止しなかった親権者やその代わりの監督者は、刑事罰である科料(1万円以下)に処せられる。

 第4条:煙草又は器具の販売者は満20歳未満の者の喫煙の防止に資するために年齢の確認その他必要な措置を講ずるものとされている。努力義務という規定のされ方である。

 第5条:満20歳未満の者が自分自身で喫煙することを知りながらたばこや器具販売した者は、50万円以下の罰金に処せられる。

 第6条:法人の代表者や営業者の代理人、使用人その他の従業者が、法人ないし営業者の業務に関して20歳未満の者に煙草を販売した場合には、行為者とともに法人ないし営業者を前条と同様に罰する。(両罰規定)

 

 これ、よく見ると喫煙者本人の罰則規定がないんですよね。

 むしろ、それを知っていた周囲の人への罰則が主ですよね。

 つまり、喫煙者の自己責任ではなく、周りに責任があるというのがこの法律の骨子です。

 

治療の困難性

 喫煙で恐ろしいのはニコチン依存症ではないでしょうか。

 それにより禁煙ができなくなっていると思います。

 それは成人だけでなく子どもも一緒です。

 むしろ、子どもの方がニコチン依存症になりやすいと言われています。

 子どものニコチン依存症を治療するのに3つの困難性があります。

 

1. 薬物治療の困難性

 保険適応の条件にブリンクマン指数というものがあります。

 ブリンクマン指数というのは、喫煙の指標となっており

 1日の喫煙本数×喫煙年数

  がブリンクマン指数です。

 これが、200を超えるというのが、保険適応の条件です。

 これだと、子どものうちからかなりの本数を吸っていないと200なんて越えませんよね。

 1日20本吸っていても、10年かかりますからね。

 そのため、子どもが薬物治療を受ける場合は、自費になってしまい医療費がかさみます。

 

2. 自己決定力不足

 子どもにとて、自分たちの環境を自分で変えることはできません。

 禁煙化されていない学校や家庭内での受動喫煙など、周囲に喫煙環境があると当然喫煙リスクが高くなります。

 

3. 代償能力が高い

 子どもたちの代償能力は高く、喫煙の健康影響を受けにくいので、喫煙の害

を実感しにくく、禁煙の必要性を実感しにくいと思われます。

 

 いかがでしょうか。

 これまでタバコと子どもとの関係性について紹介しましたが、子どものことを考えると、両親が禁煙することがとても大事だと思います。

 ぜひ、子どもを作ろうと思っているや、子どものことを思っている人は禁煙を始めましょう!

 

参考文献

1)野田隆:子どもとタバコにまつわる問題点.健康心理学研究,2016,2:p113~119.

2)伏脇裕一:喫煙による室内環境汚染と健康影響.安全工学,2012,51(5):p297~304.