痛みがあるから喫煙するそのメカニズムは?受動喫煙との関係性
前回、"喫煙するから痛い"メカニズムについて紹介しました。
専門用語ばかりですいません(-_-;)
今回は、タイトルの通り、"痛みがあるから喫煙してしまう"メカニズムについて紹介します。
目次
メカニズム
今回も研究の紹介からです。
Ditreらの研究によると、
喫煙者では実験的な痛み刺激を与えるだけで喫煙欲求が起こると言っています。
これもまたすごいですね。
喫煙欲求の恐ろしさ...
どのような研究を行ったのでしょう。
123人の、体に痛みのない喫煙者を対象として、痛みを与える群には0~1℃の水に手を浸け、我慢できなくなる時間と痛みの強さ、および喫煙欲求の強さと実際に喫煙するまでの時間を記録しました。
これ、喫煙者じゃなくても痛そうな実験ですよね...
僕はやりたくないです(笑)
ちなみに、痛みを与えない群では室温の水に手を浸けて同様に記録したそうです。
その結果、痛みを与える群では、痛みを与えない群に比べて有意に喫煙欲求が大きく、喫煙するまでの時間も短かったそうです。
実験が中々きつそうですが、しっかり結果が出てるんですね。
喫煙欲求が強くなる要因は、
- ニコチン急性刺激としての鎮痛
- ニコチン離脱症状としての痛みの緩和を期待しての行為
- 単に痛みを紛らわすための行為
だと思われます。
また、このような機序に対して、喫煙に鎮痛効果がないというビデオを見せたり、痛み刺激中に他の作業をさせて痛みを紛らわせることで喫煙欲求度を低下させ、喫煙までの時間も延長できたそうです。
喫煙欲求を他の刺激で紛らわすことができれば、禁煙対策としてもいいかもしれないですね。
受動喫煙と痛み
内容が少なかったので、もう少し内容を追加で(笑)
これまで、喫煙者についての研究が多かったですが、受動喫煙による影響も気になりますよね。
主流煙よりも副流煙の方が害は大きいですからね。
実際に研究した報告があります。
Inter99というデンマークにおける心血管疾患予防のための臨床研究の一部として行われたアンケート調査では、
非喫煙者でも1日5時間以上受動喫煙する環境にある者では有意に痛み部位の合計が多い結果となったそうです。
また、Aydoganらは、
子宮全摘術を受ける101人の女性を対象に、
喫煙者、受動喫煙者、非喫煙者の3群で術後24時間までのIV-PCAでのフェンタニル消費量を比較しました。
喫煙者だけでなく受動喫煙者も非喫煙者に比べて有意にフェンタニル消費量が多かったそうです。
動物実験の報告では、1日20本の受動喫煙させたラットで椎間板の遺伝子発現変化や組織変性が確認されており、受動喫煙であっても痛みや痛み関連疾患に少なからず影響することがわかりました。
受動喫煙でも疼痛は起こるんですね。
しかし、どれくらい吸うと受動喫煙で痛みが出るのかはまだわかりません。
極力避けるのが理想でしょう。
もし、体が痛い人の中でタバコ煙が多いところによくいる、行っている人は離れてみるのがいいのかもしれませんね。
参考文献
1)杉山陽子,飯田宏樹:喫煙とがん患者の痛み.日本ペインクリニック学会誌,2019,26:p1~7.