どうして禁煙を進めるの??
これまだ喫煙に関する記事や、それによっておこる病気について、簡単にですが書いてきました。
その予防として最も重要なのは「禁煙」です!
はい、禁煙が一番です。
それを解説していきます。
目次
禁煙について
禁煙を知るには、その背景を知っておくことが大事ですよね。
禁煙ガイドラインによると、喫煙は疾病の原因の中で防ぐことのできる最大のものとされ、、禁煙は最も確実に疾病を減らすことのできる方法と書かれています。
喫煙をすることで様々な病気にかかりやすくなります。また、喫煙者だけでなくその周囲にいる人が受動喫煙をすることでも、病気の発症リスクは高くなります。
そこで、日本では健康増進法という法律が施行されています。
これにより、医療の分野では、病院の分煙化、禁煙化、病院施設内の完全禁煙が進みつつあります。
また、喫煙を容認しない社会的気運の高揚のため、タバコ税の大幅値上げ、タバコ自動販売機の撤去や路上禁煙の推進があります。
禁煙の対象
禁煙の対象は喫煙している人だけではありません。
未成年のうちから喫煙することで、禁煙することができなくなるなどのデータも報告されています。
そのため、対象に関して、3つの切り口が考えられています。
- 多くの喫煙者は成人する前に喫煙を経験し、その習慣を身に付ける。これを防ぐ「防煙」の働きかけは主に未成年者が対象となる。
- 喫煙者の多くは禁煙を望んでいるが、禁煙することを諦めているものも少なくない。これらの人々に動機づけを行って禁煙(断煙)に導く工夫が必要である。
- 断煙しても多くが喫煙を再開する。断煙してもそれを維持し終生貫くことが困難である場合も少なくない。それぞれの対象ごとに医師や歯科医師は支援にかかわることが期待される。
とされています。
禁煙による効果
循環器疾患
禁煙による虚血英心疾患罹患率の低下は禁煙後比較的早期に現れるとされています。
他にも、
が起こるといわれてます。
しかし、再喫煙するとそのリスクはまた上昇してしまいます。
呼吸器疾患
禁煙の効果として、
- 禁煙後10年で肺癌リスクが30~50%低下、その後も漸減
- 肺癌死亡率の低下
- 肺機能低下の経年変化が減弱され、延命
女性と妊産婦
男性に比べると、女性の方が同じ本数の喫煙でも影響が強く出る恐れがあります。
ニコチンに対する依存性も、女性の方が依存度が高くなる傾向があります。
また、妊産婦が喫煙することで、子供にとって、胎児期から新生児期・乳児期にかけての、身体の発生・発達・発育の最も重要な時期に薬物の影響を受けます。
女性が喫煙することで、
- 卵巣機能:月経時疼痛、月経周期の不整、続発性無月経、閉経が早まる
- 胎児への影響:胎児発育遅延、早産、胎盤に関連した合併症(前置胎盤、常位胎盤早期剥離)、前期破水、早期破水、周産期死亡
- 美容:皮膚の弾力性が減る、皺増加、頭髪変化(白毛、脱毛)、口唇乾燥、歯および歯肉の着色、口臭、声の変化、男性型多毛
- 各種疾患:乳癌、子宮頸癌、細菌性膣症
が起こるといわれています。
禁煙することで、上記の機能改善、疾病リスク低下が起こります。
術中合併症
喫煙者は病気にかかりやすいですが、かかってしまった場合も少々大変です。
喫煙者の術中の呼吸器合併症(再挿管、喉頭痙攣、気管支痙攣、誤嚥、低換気、低酸素血症)について、発生率が5.5%(非喫煙者は3.1%)と高い報告があります。
しかし、禁煙することで、術後の呼吸器合併症の発生率が低下する報告もあります。
明確な数値として言われていることとして、
- 術後呼吸器合併症の発生を抑えるには術前4~8週間の禁煙が必要
- 手術前3週間より前の禁煙が創傷治癒を改善させる
といわれています。
術後合併症
喫煙していると、腹部・胸部の手術で非喫煙者より呼吸器合併症が2倍になるといわれています。
他にも、術後の成人呼吸促拍症候群(ARDS)、急性心筋梗塞、心房細動の発生、周術期死亡と喫煙の関係も示されています。
今回は、禁煙効果をまとめてみました。
今後、詳しく疾患ごとに禁煙の効果をまとめていこうと思います。
参考文献
1)禁煙ガイドライン(2010年改訂版)
http://tobacco-control-research-net.jp/data/document/JCS2010murohara.d.pdf