変わることのジレンマ!両価性(アンビバレンス)について!
以前、動機づけについて紹介しました↓
人が生きていく中で、人やものに対して様々なことを思うと思います。
例えば、「あの人、いい人なんだけどこういうところがな~」っていう場合です。
恋愛しているときなんかは顕著に思うはずです。
しかし、物事に対して100%はっきりした気持ちを持てる人はいるのでしょうか?
おそらくいないと思います。
もしいたとしたら、その人は100%自己中心的な考えの人かもしれません(笑)
両価的な気持ちを持たない人はいないと思います。
今回はこの両価性について紹介しようと思います!
目次
両価性とは
上記の両価的、両価性についての意味として
同一の対象に対して相反する感情が同時に存在している状態
を指します。
これを英語でアンビバレンスと訳されます。
この両価性の状態は治療する場面でよく目にしますし、日常でも目にする場面は多いのではないでしょうか。
よくある例として
- 煙草を辞めたくても辞められない
- お酒を控えようと思っても飲みすぎちゃう
- 人と接したくても思うように話せない
などです。
このような、○○したくても、○○できない状態ってありますよね。
やめられない人を見て、「なんで辞められないんだ」と思う人もいるかもしれません。
しかし、この両価性は人間の正常な側面でもあるのです。
両価性は自然に起こるもの
実際に、人が変わってゆく過程で両価的葛藤を経験することは自然なことなのです。
両価性の中で身動きが取れない時、問題は持続し、重篤化します。
ここではまり込まないよう注意しないといけないのです。
つまり、人が変わるためには両価的葛藤を解決することが中心的課題なのです!
決断を促すための考え方として、シーソーを例に話しましょう!
片方には
- 現状維持の経費
- 変わることの利益 の重りが乗っています。
反対側には
- 変わることの経費
- 現状維持の利益 の重りが乗ります。
どちらも同じくらいの状態のときに両価性の状態となっています。
現状維持を求めている場合は現状維持の方向に、変わりたい場合は行動を起こす側にシーソーが傾きます。
これはあくまで両価性を理解するためのものなので、忘れてしまってもかまいません。
社会的背景
また、両価性に関しては社会的背景に深くかかわってきます。
自分の行動をどう認識するか、行動の利益や損失をいかに判断するかは、その人の文化的・社会的背景によって異なります。
これは国などといった大きなコミュニティで異なるというわけではありません。
同じ市内に住んでいても、近隣の住人や交際する社会集団の違いによっては、同じ行動の利益と経費について、全く異なる見方をしている場合もあるのです。
そのため、動悸の比較対照や両価性は、その人の家族・友人や、地域社会の状況を知ることなくしては、理解できないのです。
逆説的反応
アルコール・薬物問題を持つ人を例に話しましょう。
上記の問題を持つ人は、多大な個人的苦痛や喪失にも関わらず、その習慣を続けようと固執することがあります。
この問題を解決するために、鞭打ちなどの身体的苦痛を与えます。
苦痛という罰を与えることで行動を制止しようとするのです。
しかし、苦痛な結果を増やすだけでは、その行動を止められるとは限らず、時にはそのような仕打ちは、かえって問題行動(ここでいうアルコールや薬物問題)を増加させ、もっと強固にすることさえあるのです。
これが逆説的反応です。
では、なぜこのような反応が起こるのでしょうか?
心理学的抵抗理論によれば、
人は個人的な自由を侵害されたと感じると、「問題」行動に心惹かれ、その行動を行う頻度が上がる。また、社会的環境の変化からくる二次的な影響も、有害な変化の要因になる。
と言われています。
仮に「正の強化因子」がすべて失われてしまった場合、どのような結果であれ個人的に残された楽しみを追求すると思います。
離婚してしまったことで過度な飲酒や喫煙に陥ってしまうような一見逆説的に見える反応は、決して不思議なことではないのです。
両価性の力動では、容易に理解し、予見できる人間性の側面なのです。
両価性に対するアプローチ
両価性を持っている方に対する声掛けとしてどちらが正しいでしょう?
- なぜ動機がないの?
- あなたは何に対して動機を持っているの?
答えは後者です。
他人の状況の利害得失や、その人にとって、ある事柄がどれほど重要であるかについて、わかりきったことだと思い込むのは賢明ではありません。
ある人にとって非常に大切なことでも(例えば健康、仕事、人から好かれる、痩せている、信心深いなど)、他の人にはさほど大切ではないかもしれません。
その人が何に対して動機を持っているのか、発見し理解することは重要な第一歩です!
また、変化について具体的に考えると、その人が今までと違う行動をとった時の結果について、何を認識し期待しているのかも重要です。
- もし現在の行動を続けていればどうなるのか?
- もし新しい道を選んだら?
といった質問を問いかけてみましょう。
人は特定の行動の結果について、いい点も悪い点も特別な期待を持っています。
この期待は行動に強力な影響を持つ可能性があります。
その人が「ある特定の変化」を望まないのかに焦点を当てる代わりに、その人が「本当に求めているもの」を探し当てるほうが、理にかなっています。
つまり、変化の流れを探し出そうとするのです!
また、考えるべき点として、「動機づけ」られるかどうかは、方法ばかりでなく、目標によっても変わります。
様々なパターンがあるので、一つの方法に固執しないよう注意する必要があります。
まとめ
- 両価性は一般的な人間的経験
- 変化の正常な過程の一段階
- 人が変わるには、両価性の解決が鍵
- 事実両価性が解決されれば変化は容易に起こる
- ある特定の解決法を強要すると、逆説的反応が引き起こされ、減らしたい行動をかえって増やすことさえある
今回は動機づけ面接法に書かれている、両価性についてまとめました。
これを知らないと、面接法の話はできないかなと思います。
アプローチについては今後詳細にまとめられればと思います!
ではでは✋
参考文献
ウイリアム・R・ミラー、ステファン・ロルニック:動機づけ面接法 基礎・実践編